大手産業にない〃お客への気配り〃
田中静代さん(甘木朝倉民商)
田中静代さんが営むコーヒーハウス「蛮可無」は、国道から入った静かな通りの落ち着いた雰囲気の店です。田中さんは甘木市のデパートで働いていましたが、デパートでコーヒー店をやっていた人が「店をやめる」と聞き、母子家庭で、子どもを自由にみられる仕事と思い、83年からこの店を継ぎました。コーヒーとパンを専門にしていましたが、88年にデパートが閉店し、今の店に移りました。
今の店でランチを出し始めたらお客も増え、近くの社会保険事務所や商店連合会などからも定期的に大口の注文が続いています。また近くの高齢の方や俳句の会の方が気楽に来られるなど「託老所」との評判もたつほどで、現在は常連客で定着しています。
田中さんはお客に対する気配りを特に大事にしています。コーヒーはお客の注文の都度挽き、まとめて挽き沸かすことはしません。ランチもインスタント物は使わずすべて手作りです。経営信条は「大手外食産業にないものを」といい、そこでお客毎に、コーヒーや砂糖、パンの焼き具合やジャムなどの好みをつかみ、それに合わせて出すようにしています。また、ゆで卵をオムレツ風にしたりと、お客の要望や好みで変え、決まりきった日替わりランチなどにはしていません。ある常連の独身男性は「1日に1回は手作りでおいしい、まともな食事をしたいから」と、毎日、ランチに通ってきています。そのくらいお客の信頼も厚く、よくお客から趣味の手作りの人形などをもらい、お店に飾っています。
入会して10年ほどなりますが、きっかけは佐藤婦人部長に「売上が上がらず大変」と話すと、「民商は苦労が話せる団体だから」とすすめられ入会しました。民商の新年会に参加して「民商は気楽に行ける」と感じたといいます。
コーヒーハウス 蛮可無(バンカム)
朝倉市甘木四日町952−1
0946−22−4890