口コミで「あの店は、商品を押しつけて買わせないから相談しやすい」と言われ、商売人でありながら〃商売っ気がない〃ところが良き宣伝文句になっています。
是則(これのり)さんのお店に来るお客さんは、病院では良くならない方が多く、まず「何の目的で来られたかを聞き出し、満足して帰ってもらうこと」に心がけています。そして、「食べ物でつくった体だから、食べ物を変えたら必ず良くなる」と確信持って話します。
商売の原点は、夫婦自身の体験にあります。結婚して2年目、千佐子さんが長男を出産したとき200ccの輸血をしたことが元で血清肝炎を引き起こしました。専門書を読むと「一生治らないので仲良く付き合うことが大切」とあり、千佐子さんは涙を流す毎日だったと言います。
雅敏さんも必死でした。それまで「自然療法」の知識を少しもっていましたが、「薬のいらない健康法」という本との出会いが治療方法を決定づけました。入院していながら病院の薬や食事、注射も止め、玄米食とわずかな副食に賭けたのです。検査値は日ごとに目を見張るように良くなり、1カ月で正常値に。「あと半年は入院したが良い」という病院とけんかして退院しました。
その頃は、病気を治すこと、生まれたばかりの子供を健康に育てることで懸命でしたが、気持ちも落ち着いた1年ほど後、自分たちが助けられた自然療法を多くの人に知らせることだと思い自然食の店を始めました。
開業して来年で30年を迎えますが、この間、是則さんの家族は徹底した自然食で玄米を中心にした食事です。「この25年間、家族全員が病気らしい病気にかかったことがない」と言います。
もちろん健康を維持、促進するために、いま夫婦で日本百名山にも挑戦中です