造園業を営む中村隆一さんは、糸島消防本部を退職し、自営業を開業して６年になります。実家が造園業をしていたことから、日頃より手伝いをしており、後を継ぐ形で開業しました。

　現在、１００軒を超える固定客を抱えていますが、特に中村さんが力を入れているのが営業活動です。「古い庭師さんは、営業に力を入れず、俺がつくってやるという姿勢だった。でも自分は営業でどんどん家庭を回り、つながりをつくる」と話します。中村さんが目指す庭づくりは「自然派」といわれる自然を生かした庭づくり。暇なときには山に入って、水の流れや木立の風景を見るなどして、研究するとのこと。先日は、脱サラで、ギャラリーを始める人から、自然の地の利を生かした庭をつくってほしいと注文が入り、手がけています。

　中村さんには、造園業の事業主とは別にもう一つの顔があります。それは、糸島喜劇クラブ代表・中村玉奴（芸名）としての顔です。もともと２０才のときクラブ歌手として、福岡グランドレコードに所属していた経歴の持ち主。

　消防署を退職し、自営業の道を選んだのも、公務員では好きな歌や芝居をするのに時間的制約が大きいことが要因の一つにありました。今では、造園業のかたわら、人情喜劇、漫談、パーカッションバンドなど、年間３０から４０公演をこなすまでになりました。そして、喜劇クラブの活動がまた、造園業の営業につながり、公演で知り合った人から、庭づくりの仕事が入ったりします。

　「演劇は自分の世界をつくること。庭づくりも発想は同じ。やり方は違っても基本は同じ」と庭づくりに演劇にと大車輪の毎日です。