どんな印刷、製本でもおまかせ
小林千里さん(門司民商)
女性経営者である代表取締役小林千里さんは、元労働組合運動の活動家。巨V潮印刷は、隆文堂印刷という老舗の、労働組合による経営再建闘争によって生まれた会社です。

 小林さんは労働組合のオルグとして経営再建に関わり、元従業員たちと退職金を出し合って一部の機械を買い取り、社屋もそのまま借りて、小林さんを代表者にして会社を設立しました。社屋は関門海峡を見下ろす場所にあったことから、海峡に新しい潮の流れを作ろうと新潮印刷と命名しました。その後移転を余儀なくされ、製本業だった現在の工場を、市の資金を借りて買い取り再出発しました。現在地も、国道199号線越しに関門海峡を見ることができます。

 現在従業員8人、忙しいときは工場の元の持ち主であったご夫婦も来て総勢10人で仕事をしています。ゼンリンの住宅地図のような大判の製本ができる、九州で2台しかないといわれる機械をはじめ、印刷製本機械は充実しており、「印刷から製本までおまかせ パンフレット、小冊子から上製本、金箔押しまで対応できます」(会社案内より)と仕事には自信満々です。しかし、業界を取り巻く状況は厳しく、年々のばしてきた売上も、今年に入ってブレーキがかかってきています。

 同社は、従業員の大半が出資者という特徴があり、小林さんは「みんなの汗で利益をあげよう」と、経営の苦労はみんなで分かち合う気風を作ってきました。最近は自治体からの受注に力を入れ、岡垣町から「岡垣サンリーアイ」のホームページ作成を含めた仕事をとることができました。小林さんは、「家に帰れば、どうしても家事の負担はかかってくる。経理をやるのはいつも夜中。朝は戦争ですよ。」といいながら、「インクの匂いのする文化の潮」(行橋市の書家 谷村露仙さん寄贈の書)をおこそうと奮闘しています。


巨V潮印刷

北九州市門司区松原1-6-1
 (093)382-3001
http://www.shinchou.com/