伝統を守りながら継承して、出会い、縁を大切に
伊藤幹生さん(宗像・古賀民商)
ガラスに携わったのは、福岡で草分け的なガラス工房「マルティグラス」に営業として入ったことでした。営業をしながら、バーナーワークの人と相談してアクセサリーのデザインを始めたのがきっかけで、トンボ玉を自分でも作り始めました。その作品を展示するために職人と「粋工房」を94年に旧玄海町に立ち上げました。
99年に「マルティグラス」が解散し、その販売経路と数人の職人を引き継ぎましたが、景気の悪さから大きな取引のある問屋がずいぶん倒産、厳しい状況に追い込まれました。福岡北部に11ほどあった工房も今では4つほどしか残っていないほどです。しかし、この1〜2年やっと少し落ち着いてきました。
置物や食器を中心に作ってきましたが、食器は輸入物に押されてずいぶん少なくなってしまいました。それでも、湯布院の玉ノ湯や大手和陶器販売のたち吉などと提携してオリジナルなものを作っています。
天保3年(1832年)頃、福岡で初めてガラス製造を始めた「小川宇平」という人の作品を復刻し、ガラス工芸を改めて、県の物産として認めてもらい、県庁の物産展コーナーにも展示されています。また、放生会で有名なチャンポンも、職人がいなくなることが心配されていましたが、昔ながらの吹きガラス製法で復刻、筥崎宮からもお墨付きをもらって、製作するようになりました。最近では、民商に入って知り合った別の業種の人と、ガラスを使った新製品を開発中、もう少しで商品化できそうです。
「ものづくりには厳しい時代だけど、これからも、伝統を守りながら継承していき、いろんな出会い、縁を大切にして、お客の希望を聴いてすぐに形にしていけるようなより高い技術力、デザイン性を追求して、他にマネのできないものを作っていきたい」と、伊藤さんは、語ってくれました。
粋工房株式会社
suikoubo@yahoo.co.jp
(工場)
福岡市東区三苫6-19-36п@092-606-7800
(ショップ)
宗像市田野2327-6
п@0940-62-0272