農家を継ぐのがイヤ
で、高校から続けていたラグビーで東京の大学に行きました。しかし、73年に卒業後、地元に戻りました。
ちょうど、今の養豚場が空き、小動物出荷者組合、市場、農協の人たちが、つぶさないために後継者を捜していたのを父親の耕一さんが知り、通孝さんに「やってみないか」と、勧めました。大学での4年間で考え方も変わった通孝さんは、22才で養豚を始めました。やってみると、能力と体力が必要だし、生き物相手なので年中無休の上、あまり人と会うことのない仕事でした。
人と会わないと、世の中から取り残されそうで、できるだけいろんな本を読むように努力しています。毎年の直木賞や芥川賞の受賞作品など直接仕事に関係ないものも含め、いろいろなジャンルの本を読むことで、作者や登場人物と出会い、考え方を知り、広い意味で経営にもプラスになると考えています。
養豚だけでは大変なので、87年から手作りハムも始めました。ハム作りは、大学時代の学習と、本で勉強をしてとりくみました。最初は、知人などのつてを頼っての販売でしたが、今では「ゆうパック」にも加入し、全国へ発送できるようになりました。
養豚とハム作りを一緒にやることで、経費の節減にもつながり、今の厳しい不況を耐えています。そろそろ後継者のことを考える時期にきていますが、なかなか難しい問題です。「早く後継者を見つけて、自由な時間をゆっくり過ごしたい」という、松永さんでした。