良いものを確実に届ける


田中  龍さん(戸畑民商)

 祖父の代からの製麺所をついで8年がたちました。男3人兄弟の三男で、小さい頃から「自分が家業を継ぐことはない」と、思って、自動車学校の先生になりました。しかし、上2人が跡を継がないことになり、ちょうどそのころ、労働組合の役員をしてサラリーマンの裏も表も見たし、少子化で自動車学校間の競争も厳しく「サラリーマンも安泰ではない」と、感じていて、商売も厳しいかもしれないが、同じ厳しいなら人間らしく家族と一緒に食事をしたり、向き合っていきたいと思い、家業を継ぐことにしました。

 父宝玉さんと一緒に働きながら、祖父の時代からのやり方やいろんなことを体で覚えていきました。粉は、国産のものを使っていますが、とれた時期や日々の気温や湿度などによっても練り加減が微妙に違うので、5年目でやっと自信が持てるようになりました。また、昔ながらのやり方なので、蒸し麺を作る時の「せいろ」で使う「すのこ」などの道具は、竹を取ってくるところから始め、すべて手作りです。そのため、大量生産はできませんが、スーパーとの取引をせず、個別のお得意さんとの付き合いで、その日作ったものはその日の内に配達するというやり方を守っています。そういった特色をもっと全面に打ち出そうと地元の自治体職員や知り合いと「名店会」というのを作り、その中で「戸畑チャンポン」を押し出し、その麺を田中さんが作っています。新聞・雑誌やTVの取材も受けました。

 商売を始めた頃に比べて、取引先の件数は若干増えていますが、生産数は減っています。しかし、暇になったからこそ、逆に細かいところまで手がかけられるということにもなり、良いものを確実にお客さんに届けることをモットーに日々努力している田中さんです。

中華麺類一式製造販売

 田中製麺所

北九州市戸畑区牧山1-1-21
093-871-2187