笠間秀利さんは、19歳で電子科(定時制)卒業後、調理師めざして博多の飲食店に勤め、その後建築業をしていた伯父からすすめられて大工に。伯父のもとで5年間修行を積みひとり立ちしたのが24歳。 建設会社に3年間応援の形で就職、しかし会社のやり方が自分に合わずやめて自分で請けてやるようにしました。
地元の仕事を中心にがんばってきましたが、3年前から仕事がない状態が2年ほど続き、精神的に落ち込みました。タクシー運転手になろうかと思ったともいいます。しかし民商の新年会で役員から「仕事はがんばって続けたほうがいい」と励まされ、みんなから仕事も紹介してもらって援助を受けるなかでやり直す気持ちになりました。
昨年から仕事が増え出し、現在新築や増改築など数件入ってきています。これは先輩(女性で高校の電子科)から紹介で、この先輩の家の新築を以前請負ったことから信頼を得、その後の家の修理や先輩の嫁ぎ先のジャズ喫茶の修理を頼まれたりしていました。また先輩の「ジャズコンクール」の催しを手伝ったりと気安い人間関係を大事にしてきたことのたまものです。
笠間さんは「家は丈夫であること、家は一生のものとして客は大金をかける、だからこそしっかりしたものを建てたい」が信念です。そのためにお客と徹底して話し合います。建築基準や客の注文よりも強度や材料をよくするといいます。この誠意ある対応が客から喜ばれています。あとで「頼んでよかった」と言われるのがうれしいといいます。また自分の手間分も応援を頼む大工さんの日当と同額にしたり、ジュース代を自腹で使うなどで儲けきらない人柄が出ています。材木、その他の材料屋さんが見かねて最近はバックマージンをくれるといいます。
笠間さんは「民商の良さである和を広げたほうがいい、自分のように悩んでいる人は多い、民商を自信を持ってすすめられるようになっていきたい」と自分の経験から語ります。